(株)トーメン シカゴとうもろこし・大豆定期相場コメント

2000年5月16日

本日の相場

とうもろこし  ---小幅安値寄り付き、安値引け ---

OPEN  HIGH  LOW  SETTLE  CHG  OPEN INT  CHG 
00 JUL  238 - 38 1/2  240 1/4  235 1/4  235 1/2  -3 1/4  246811  -9764 
00 SEP  247  248 1/2  243 1/2  243 3/4  -3 1/2  60236  +13 
00 NOV  252 1/2  254  249  249  -3 1/4  958  +5 
00 DEC  256 1/4 - 56 1/2  258 1/4  252 3/4  253  -3 1/2  137865  -682 
01 MAR  264 1/4 - 64  266  260 3/4  261  -3 1/2  18362  +119 
01 MAY  267 1/2  269 1/2  265  265 1/2  -3 1/2  3546  -7 
            478432  -10448 

 

大豆     --- 小幅安値寄り付き、安値引け ---

OPEN  HIGH  LOW  SETTLE  CHG  OPEN INT  CHG 
00 JUL  548 - 49  551 3/4  542  543 3/4  -6  101598  -5054 
00 AUG  552 1/2 - 52  555 1/4  546  547 1/2  -5 3/4  12729  +390 
00 SEP  554 1/2  558  548 1/2  550  -6  8526  -19 
00 NOV  562 - 62 1/2  565 1/2  555  557  -6 1/2  54243  +371 
01 JAN  570  572 1/2  563 1/2  565  -6  4946  -248 
01 MAR  575  578  569 1/2  570 3/4  -7 1/4  5517  -8 
            197866  -4726 
  MEAL  CHG    OIL  CHG    WHEAT  CHG  NY-YEN 
JUL  18170  -140  JUL  1700  -3  JUL  281 1/4  -1  109.00-109.77 
AUG  18160  -140  AUG  1719  -4  SEP  291 3/4  -1 3/4   
SEP  18140  -160  SEP  1737  -7  DEC  307 1/2  -1 3/4   
OCT  18120  -200  OCT  1755  -8  MAR  319 1/4  -2 3/4   
                   

 

本日の相場の動き

NOAA、旱魃予想。そして、売られる。

典型的な"SELL THE FACT"の相場。本来なら強材料として刺激的なNOAAの発表内容も、昨日情報が漏れていたために、目新しい内容がないと見られるや、売りの要因となった。 

歴史的に早いコーン・大豆の作付けとコーンの発芽、明日後半から週末にかけて予想される中西部の広範囲な雨、6-10日天気予報も雨がちを予想。昨日の急落の後であったが、ファンダメンタル要因から相場にはまだ売り意思が残っており、NOAAの内容を確認した後に、それらが堰を切って市場に躍り出た。その後、トム・スキリング氏が今週の中西部の雨量は3インチを越すと予想したことが売りを後押し。正午まではNOAAを待って一進一退であった相場も、一気に様相を変えた。最後には、「NOAAが旱魃予想記者会見をしたのは大統領選挙対策」という皮肉な見方もでるなど、NOAAは引け値に反映されなかった。 

本日のファンドの動きは、コーン1,000コントラクトの売り越し、大豆1,500コントラクトの売り越しと見られている。 

 

NOAA今後3ヶ月のドライを予想 

National Oceanic and Atmospheric Administrationは、本日正午、旱魃の可能性についての見解を発表した。 

「ラ・ニーニャ現象は今後数ヶ月引き続き後退していくと見ているが、その間気温は平年以上となる。このことは、降雨と土壌水分の蒸発を促進するため、乾燥気味になっている地域はこの春夏に被害を受ける可能性がある。中西部では、ミズーリ・アイオワ・ネブラスカ・インディアナ・アイオワが深刻だ。夏になれば、平年以下の降雨と平年以上の気温が予想され、事態は悪化する見込み。 

1)今年の4月は過去106年間で最も降雨が少なかった。2)気温が高かったことが土中水分を低下させた。3)5月後半に一部地域で雨が予想されるが、それもすぐに蒸発しドライに戻るであろう。」 

 

各生産地の天気予報および状況

米国中西部

天気予報は昨日と変らず。昨夜から中西部に降り始めた降雨は木曜日まで続き、ベルト全体の75%の範囲に0.3-1.5インチ、所により2-3インチの降雨量となる。その後週末から来週初めにかけてはドライ。次の降雨システムは来週火曜日から木曜日にかけて。このシステムは今週のシステムほど強いものではないが、それでもベルト全体の50-60%の範囲に0.25-1.2インチの降雨量となる見込み。 

今後10日間の気温もマチマチながら、全体として平均よりやや低めにて推移する。 

現在土壌水分が不足していると考えられる地域は、アイオア、ミーズーリー北西部、ネブラスカ、イリノイ中部の各地域。今後10日間の降雨にてこれらの地域にも降雨予報が出ているが、ミズーリー北西部とネブラスカ南東部は降雨システムからの恩恵が少ない予報となっている。 

アルゼンチン 

この3日間降雨が続いている。2週間前にも前線の停滞からまとまった降雨となっており、5月前半の間の降雨量はコルドバ、ラパンパ、サンタフェにて1.5-3.0インチ、リオス、ブエノスアイレスにて4-8インチとなっている。5月の1ヶ月間の過去平均雨量がおよそ1インチ程度であるから、いかにこの半月で降雨量が多かったかがわかる。この降雨によりまだ収穫が半ばの大豆にダメージの心配がでてきた。ダメージは品質のみならず、生産量にも影響が出てくる見込み。コーンはほぼ収穫が終わっており、大きな問題にはならない。 

 

米国土壌水分地図および14日後予測. (ホームページ閲覧者のみ) 

 

 

本日の発表等

 

1)受渡可能在庫 (千ブッシェル)

 

  5月12日  前週  前年同期 
コーン  4,509  4,696  NA 
大豆  5,815  6,075  NA 
小麦  32,490  32,928  32,793 

- ニュートラル。 

 

2)ローンデータ (百万ブッシェル) 

−コーン− 

  5月12日  先週比  Forfeit合計  先週比  Redeem合計  ローン合計 
1997crop  0.1  unch      21.6   unch    1,118.8   1,140.5 
1998crop  0.8  -0.3      44.7   0.1    1,722.9   1,768.4 
1999crop  872.3  -15.8       0.0   unch     490.2   1,362.5 

−大豆− 

  5月12日  先週比  Forfeit合計  先週比  Redeem合計  ローン合計 
1997crop  0.0  unch        6.7   unch    259.6   266.3 
1998crop  0.1  unch      11.6   unch    329.8   341.5 
1999crop  162.7  -7.4       0.0   unch    120.3   283.0 

−コーン・大豆ともニュートラル 

 

3) NOPA月間搾油高 

 

  4月  3月  前年同月 
搾油量(千ブッシェル)  118,646  128,280  125,703 
大豆粕生産量(トン)  2,833,945  3,064,968  2,974,511 
大豆粕イールド(ポンド/ブッシェル)  47.77  47.79  47.33 
大豆粕輸出量(トン)  295,729  494,847  455,641 
大豆油生産量(千ポンド)  1,358,147  1,467,080  1,430,650 
大豆油イールド(ポンド/ブッシェル)  11.45  11.44  11.38 
大豆油在庫量(千ポンド)  1,613,793  1,629,500  1,181,697 

搾油量は予想より少なく弱い材料。 

 

4)主要7州土壌水分状況(USDA発表) 

 

  大きく不足  不足  適量  潤沢 
5/15  5/8  5/15  5/8  5/15  5/8  5/15  5/8 
アイオア  表層土

下層土 

 
26

41 

 
37

41 

 
39

42 

 
47

46 

 
33

16 

 
16

13 

 
2

1 

 
0

0 

 
イリノイ  表層土  2  9  22  33  66  56  10  2 
ミネソタ  表層土  3  25  19  42  72  32  6  1 
インディアナ  表層土

下層土 

 
0

12 

 
4

17 

 
10

36 

 
17

37 

 
77

47 

 
69

42 

 
13

5 

 
10

4 

 
オハイオ  表層土  1  0  8  4  78  85  13  11 
ミズーリー  表層土

下層土 

 
25

38 

 
34

NA 

 
38

42 

 
41

NA 

 
36

20 

 
24

NA 

 
1

0 

 
1

NA 

 
ネブラスカ  表層土

下層土 

 
28

47 

 
17

39 

 
41

33 

 
46

39 

 
31

19 

 
37

22 

 
0

1 

 
0

1 

 

先週より改善しているが、アイオア、ミズーリー、ネブラスカにてまだ表層土水分も不足している事がわかる。 

 

本日のトーメンの意見

 

土中水分は不足しているのか? 

遠目からは、地平線まで一面黒褐色のフィールドが続く。フィールドに近づき目を凝らすと、産毛のように生え揃ったコーンが均一な高さで芽を出している。先週現在のイリノイ州中部・アイオワ州南部のフィールドの様子である。 

土の成分にもよるが、黒褐色のフィールドは表面水分の潤沢を表している。そして何よりも目を引くのは、コーンの芽の高さが均一なことと、発芽のミスが全くと言ってよいほどないことだ。例年、4月は中西部で最も降雨の多い月である。そして、その雨がフィールドに無数の水溜りを作り、通常その水溜りからは蒔かれた種が発芽せず、発芽率の下落の主因となる。しかし、今年の4月は約7インチも例年より降雨が少なかったせいで、水溜りはフィールド内にまず見ない。皮肉なことに、人々に心配されている雨量の少なさが、見事なまでの発芽を実現させたのである。4月終盤・5月始めに雨があったことで表土水分が安定し、アイオワ州南半分・イリノイ州北半分に話を限定すれば、コーンは発芽を理想的に終えようとしている。誇張の謗りを恐れずに言えば、「完璧」とも言える。 

では、なぜまだ天候相場か? 

天候のみで上下する相場が続いている。今年の場合は、天候相場の特徴である上下の激しい動きが例年より早い時期から見られ、上下幅も大きい。その要因としては、1)より大きなファンド資金の流入、2)今年はエルニーニョ収束年であること等様々な理由で夏場の旱魃を予想する者が多いこと、3)特に西部コーンベルトでの土中水分(subsoil moisture)の不足が指摘されていること、などが挙げられよう。特に、土中水分の不足については、「タイムリーに水分が補給されない限り、クロップが即刻被害を受けてしまう。」との懸念を生み、市場参加者や農家等の中心不安材料になっている。したがって、乾燥傾向の天気予報に相場が大きく反応し、雨予報にはその反応分を戻すという荒い展開が続いているわけだ。 

しかし、土壌水分は現在本当に不足しているのか? 

多数の人々が西部コーンベルトの土壌水分、特に土中水分の不足に神経質になっている。シカゴ取引所で聞かれるのは、「雨は降っているけど、所詮は表土を濡らすだけ。根本的な問題は土中水分の不足だ。」 農家は、「土中水分不足を大変心配している。だから、イールド保険をかけた。今年はほとんど皆かけているけどね。旧穀在庫は夏まで売らないよ。」などというコメントが平均的だ。表土(topsoil)とは一般的に表面から18インチ(約46センチ)までを、土中(subsoil)とはそれ以下を指す。では、農家、市場参加者に土中水分不足の根拠とは何か、と聞けば返ってくる答えは、1)昨秋から今春先までの雨量の少なさ、2)井戸などが枯れているところがある、3)USDAやパーマーの報告では西部ベルト(ネブラスカやアイオワ)では7インチも不足していると発表されている、などである。USDAやパーマーは、土壌水分を過去の雨量のみをベースにして測るため、基本的に1)と3)は内容が同じである。 

先週、土中水分不足が深刻と一般的に言われている南部アイオワ州のクレストンという町の近郊の農場を通りかかった時、ある農家が農機具格納用小屋を新設中であった。ふと見ると、約2メートルほどの深さの溝を掘り、地中に電線を通している最中であった。中を覗き見ると、土壌の断層がはっきりとわかる。表面から20インチほどがコーン・大豆生育に最も適していると言われる'SILT'(シルト)と呼ばれる黒褐色の土、それより下が'CLAY'(クレイ)と呼ばれる薄褐色の土であった。シルトの部分は、見ただけで十分水分を湛えていることがわかった。では、クレイの部分はどうか、中に入って触ってみたが、明らかにひんやりと湿っている。傍らにいた農家は、「確かに湿っている。これほど水分があるとは思わなかった。」 

土中水分は不足しているのであろうか。つまり、「USDAやパーマーの報告は、実際の土中水分状態を反映しているのか?」「この穴の湿気は土中水分一般を表している訳ではないのか?」そこで、当地ではタイルと呼ばれる暗渠(農地から余剰水分を廃棄する目的で約1メートルの深さで土中に埋められた排水設備)を探した。タイルはどの農場にもあるわけではなく、且つその排水口は普通雑草が生い茂った湿地にあるので見つけるのに時間がかかったが、南部アイオワにあったタイルからは、絶え間なく水が流れ出ていた。次に、中部アイオワでタイルを見つけたが、そこからも冷たい水、つまり農場の土中に吸収しきれない水分が、一定のペースで間断なく溝に流れ込んでいた。 

今回土中水分状況を見ることができたのは、広いアイオワ州のうち南西部と中部のたった3箇所であるが、それらの農場は例外的に水分が豊富だったのであろうか。先日、市場にとって意外な観測報告を発表した学者がいた。アイオワ州立大学のテイラー氏である。「アイオワ州の農地の土中サンプルを取って水分を測ったところ、全体の約75%の地域の水分は平年並み以上であった。」しかし、この報告は一時相場を冷やすことに寄与したものの、その後はほとんど取り上げられることはなくなった。つまり、市場は基本的に「土中水分不足」で一致しているのである。農家は、長年の勘や経験に加えてパーマー報告など市場の情報を基にドライと判断しているのであろうが、目の前の農場の地下50センチがどのような状態にあるかチェックはしたのであろうか。秋冬の降水量のみから土壌状況を判断する方法は今回正確と言えるのであろうか。アイオワ州の土壌水分は、市場の認識ほどは乾燥していないのではないか。 

中西部では、確かにいくつかの井戸は枯れているのであろう。しかし、どこかの井戸が枯れるのは特別今年だけのことではない。今年は、井戸が枯れた場合のニュースバリューが高くなっているだけ、と考えることもできる。加えて、河川の水位も確かに低い。イリノイ川の水位は今年に入って平年のレベルに達したことはないし、川底が見えているアイオワの小さな河川は多い。これもおそらく農家を不安にさせる材料になっているのであろうが、降水量が少ないことは否定しようもない事実であり、そのために川の水位が低いことは理解できる。また、その降水量が農場の土壌水分条件の最大要因であることも間違いない。しかし、上記タイル等のことを考えると、もしかしたら、それら降水量と、農場の土中水分状況は必ずしも正比例はしないのではないか。つまり、テイラー氏が主張する実地調査報告の方が、パーマー指数よりも正確に現状況を反映しているのではないであろうか。 

また、市場が主に注目しているのは土中水分であるが、表土水分維持に関しては今年は明らかに過去と違う動きがでてきている。ノーティル、つまり鋤き起こしをしないで作付けを行う方法の普及度である。昨年の今ごろも同方法を紹介したが、これにはメリットとして、時間・労力のセーブ、最適時期の作付けをしやすくする、土を傷めない、などがあるが、その他今年注目されるのは、昨年のクロップがフィールドを覆うため水分を貯え蒸発しにくくする、という効用だ。今年の場合、中西部では大豆約5〜6割、コーンも約1割がノーティルになったと言われている。つまり、中西部の畑の約半分がノーティルなのである。降雨量から見た水分不足が言われる中、この方法は少なからず今年の農場の水分保持に役立っている。 

そんなことを考え、完璧なまでに生え揃い目が届く限り続いているコーンの芽を見ていると、USDAが先週予測した137のコーン生産イールドは現実味を帯びてくる。受粉期の旱魃の可能性が各方面から指摘されており、それが今後の相場の最大要因になることは間違いないが、だからと言って今強気にはなれない。  ( F ) 

(青字の部分をクリックすると写真が出ます。) 

 

 

 

(トーメン穀物相場情報ホームページアドレス http://www.toyotatsushograin.com/)